春の回想録
むかし、家族みたいに感じてた友達がいたんだけど、ある日いきなりいなくなっちゃって、ほんとに突然で、そりゃあもう心にすっかり穴が空いちゃって、どれだけ長く濃く一緒にいても、人ってこんな簡単にいなくなっちゃうんだなっておもって、それからあまり人を信じなくなって、学校とかで楽しく過ごしててもふいに涙が出ることがあって、家だとなおさらで、諦めることが増えて、1年経って今でも夢に出てきたりするんだけど、少し前にまたおんなじようなことがあって、わたしはあの時と同じように、その子の跡を眺めてることしか出来なかった、もういいやしょうがないや壊れたものはもう戻らないからって
それからちょっと経って、その子がいきなりわたしの家に来て手紙をくれた、わたしはそれを読みながら泣いた、返事はすぐに書いたけど出そうか迷って結局今も手元にある、なんのはなしかっていうと、壊れたものはこの世にたくさんあるけど、元通りにならなくても またいのちを吹き込むことが出来るものもあるとおもうってこと
わたしはきっと手紙の返事を届けると思う
桜が散る前に。