ほんとのところ
放課後
氷の中で反射するメロンソーダを覗き込みながら 答えの決まっている話を、サイゼリヤの一角で ぼんやり聞いていた。
こんなときは、自分がどうしようもなく情けなく思う。
振り切るだけの強さがあったなら。いっそ潔く自分一人を愛せたのなら。
中途半端な自己愛が、曖昧に笑う君を赦してしまう、あの子を殺せない。
赦してしまったら、なんだか自分が可哀想に思えて、ここまで来てしまった。
離れていったひとのことなんて思い出したってしょうがないのだから、とキャパオーバーの心に無理にしまい込んだせいで、少しの風で大きく揺れる。揺れた隙間から 壊れた破片が牙を剝く。
いつだって、赦されたかったのは私だったのかもしれない。
弱い自分を隠すために笑った、いつしかどこまでが本当の自分かわからなくなっていた。それでも居場所が無いよりはずっとずっとマシだから。たとえそれが見せかけのものでも、たくさんの笑顔の中心にあれるなら、それでよかった。
それでよかったはずだった。
信頼できるのは自分だけ、いつしかそう思うようになって どれくらいが経つのだろうか。
涙で霞んだ視界には、
深いメロンソーダの海が映っていた。